ポーズを変えるように言われ右手を台に突いたとき、手がぬるっとすべった。
その生温かい感触に、えっ? と思って振り返ると、小体な木偶たちとともに身体を乗せていた展示台の磨かれた床板がそこだけはっきりと濡れ色に染まっていた。
つい今しがたポーズをとっていた位置だった。はっとして、裾の内側に手を滑らせようとして思い留まった。
撮影中――なのだ。
手をやらずとも、足を動かすだけで内股に滴るほどの分泌液が透明な蜂蜜を塗りたくったようにまとわりついた。血が逆流するような恥辱が沸騰して躰が引き攣った。明るい木目の床板にくっきりと染み付いた濡れ色を隠すように縮こまって、久野夕実は抱えた膝に顔を伏せて身動きができなくなった。
――どれぐらい時間が経ったのだろう。
的確で端的な指示の声も、残像が焼きつくほどの強烈なスポット照明も、唸りを上げるモータードライブのシャッター音も聞こえなくなっていた。代わりに、暖簾をはためかせた秋の爽やかな微風がふわっと頬に触れた。
蒙昧な暗闇に一筋の光が差し込むように、外界からの入力をすべてシャットアウトしていた感覚が、ひんやりと漂う白檀の匂いに少しずつ甦り始めた。押さえても押さえても止まらなかった躰の震えもいつの間にか止んでいた。
「…珍しいな……」
微かな衣擦れの音と共に、飄々とした懐かしい声が耳元近くで聞こえた。
「ご、ごめんなさい……迷惑かけちゃって……」
膝を抱え顔を埋めている傍らに気配が温かさとともに忍び寄った。
「他の人たちは…?」
「しばし休憩。湯浅が食事に連れていったよ……」
着崩して剥き出しになっていた裸の肩にそっと男の指が触れた。
「あの、その…躰が動かなくなっちゃって……」
「無理はしなくていい。湯浅に話してやろう」
「で、でも……それじゃ、湯浅さんに申し訳ないし、他の人たちにも……大丈夫……ちょっとだけ、こうしていてくれれば……」
胸元を押さえていた手を天辺の躰に廻すと、ぱっくりと開いた袂から張り切った真っ白な乳房が零れ落ちた。
着せ替え人形のように上品な絣の着物を着せられて、髪を整えられ、くどくない程度にメイクを施された自分の顔の変わりように驚く間もなかった。初めての撮影は緊張の連続でおどおどと戸惑うことばかりだったが、2時間ほど掛かってポスター用の撮影が終わる頃には、程よく力が抜けて表情も引き攣らずにすむようになった。
調子が出てきたのがスタッフにも伝わったのだろう。最初は午後からの予定だったパンフの撮影に一気に突入した。カット数が必要なパンフ用はちょっと大人めいたメイクで、髪を上げた浴衣姿の撮影だった。真っ白で申し訳程度に藍染めの模様が入ったシンプルな浴衣は線がはっきりと出てしまうので下着を着けられなかった。ポーズも大胆だったし、わざと乱した髪となまめかしく肩や足を露出して着崩した衣装。見えちゃっても後でちゃんと修正するから大丈夫と言われて余計気になってしまった。その結果、見られているという意識が押し込めても押し込めても湧き上がる妄想を生んで、挙句の果てに、恥ずかしい現象を引き起こしてしまった。それを同性であるカメラマンに気付かれるのがあまりにも恥ずかしくて、屈辱に躰が硬直してしまった。

夕実が天辺にすがりつくと、天辺は夕実の肩を抱き寄せて寄り添った。
「久しぶりだな……」
問うように耳元で囁かれて、こそばゆい甘さが染みるように広がった。
頷く代わりに天辺の胸に頬を押し付け、躰に廻した腕に力を込めると、男の懐かしい匂いが胸いっぱいに広がった。
「おまえの夢ばかり見ていた」
「わたしの? 夢?」
「そうだ。毎晩、いや昼間からおまえが夢に出た」
「……どんな…夢? 聞きたい……」
夕実は男の喉に唇を這わせながら、いつの間にか膝の上に躰を乗せていた。
「おまえを…犯す夢だ」
カクンと躰が震えた。さっきとは違う……期待と予感がない交ぜになったような震え。
「押し倒して…服を引き裂いて……」
「わたし…裸にされちゃうの?」
「素っ裸にして…服は捨てる」
「他人が来たら…困る……」
「他人が来たら見せ付けてやる。素っ裸のおまえを」
「そ、そんな……」
躰の震えが止まらなくなった。
「それから…抵抗しようが、泣き叫ぼうがかまわず、力ずくで犯す」
「わたし…ヤラられちゃうの? わたし、滅茶苦茶にされるの?」
「そうだ。森のなかで、野原で、村はずれの畦道で…真っ昼間、ところかまわずおまえを素っ裸にして…滅茶苦茶に犯すんだ。人前だろうが、おまえが嫌がろうが、かまわず押し倒して、おまえの躰にぶち込むんだ。…いきり立ってどうしようもないものを。尻を抱えて後ろからやりまくる。好きなときに好きな場所で好きなようにおまえを犯す。このかわいい口も小さな尻の穴もみんな犯しまくって、オレの精を注ぎ込む。おまえをオレのものにするために。……そんな夢ばかり見ていた」
膣に性器を挿入されたように男の言葉が躰の中心にどっと流れ込んだ。
「……それ…して…。わたし…そうされたい……。たくさん…そうされたい」
目が潤んで男の顔がよく見えなかった。
「きれいだな」
夕実は慌てて男の首にすがりついた。
普段は滅多にしない化粧をした顔を見られるのが殊更恥ずかしかった。
男の裾を割ってその内側に手をもぐりこませると、それはすぐに手に触れた。
夢中になって握り締めると、その硬さと熱さに躰が震えた。掴みきれない太さに頭のネジが弾け跳んだ。
「……凄い。凄い」
ありったけの力を込めて握り締めても、隆々とそそり立つ形はびくともしなかった。
無意識に下半身がにじり寄る。
「ねぇ……。ちょっとだけ、ちょっとだけでいいから…欲しい…」
天辺の躰を跨ぐように膝で立ち、手を添えた陰茎を既に滴るほどに潤っている部分にあてがった。
天辺の首にすがり付いて、そのままゆっくりと腰を沈める。
肉を押し広げながらずぶずぶと突き進んでくるもの。躰の中心で歓びが燃え上がり、抑えきれない声が迸る。
夕実は焼けた杭で串刺しにされていた。
かたちを確かめるように締め付けると、尻が勝手に動き始めた。
男を呑み込んだまま、狂ったように尻が振れ、乳房がまるで別の生き物のようにゆさゆさと暴れた。溢れ続ける潤滑液が無言のこけしたちが見守る真昼の静寂を湿った淫蕩な音色で満たし始めた。
*************************************************
顔の上をひんやりとした空気が流れ、白檀の透き通るような香りが覚醒を促した。
視界がゆっくりと戻ってくると真上に黒い影が覆いかぶさっていた。
眼の焦点が緩慢に合わさっていく。
高窓から入る光が天井を明るく染め、墨を流したような木目が浮き出ていた。
その中央に、天辺の精悍な顔と射抜くような強い視線があった。
夕実は店の小上りに寝かされていた。
――上掛けの下……服も…浴衣も…着ていない。全裸だ。
傾きつつも陽はまだ高く、薄暗いはずの小上りにも十分な光が回りこんでいた。
目の下まで引き上げた上掛けに半分隠れて、ぶつぶつに途切れた記憶を遡る。
えーと。えーと。
撮影…が中断して……、天辺に抱きついて…、男の匂いと力強さが一気に甦る。ああ、恥ずかしい……自分から跨って……。
まだ体内に男を迎え入れているような感覚が際立ち、歓喜の余韻がくっきりと残っていた。
いっぱいに満たされて…自ら尻を打ちつける湿った音がリズミカルに聞こえ、……突き上げる快感と宙に投げ出されどこまでも落ちていく感覚がリアルに甦り、そこでぷっつり記憶が途切れていた。
「あ、あの……」
「……もうみんな帰ったよ」
筋張った手が頬に軽く触れた。
「で、でも……、その……」
「もう、済んだことだ。気にしなくてよい」
その言葉に答えるように、小さなくしゃみが一つ出た。
「寒いか?」
夕実は天辺の顔を見上げたまま、小さく首を振った。
天辺に躰を寄せると、上掛けがするすると落ちて躰を覆うものがなくなった。
真上を向いて盛り上がった乳房を掴まれて、影のような墨色が夕実の白い躰を覆い隠した。
「こうしていると温かい……」
覆い被さった影の背に腕を回しながら、夕実は男の口を強く吸った。
何度も何度も……、口が痺れ、息が続かなくなるまで。
不意に脇腹に硬く抉るような異物感を感じて驚いた。
手を伸ばし確かめるまでもなく、天辺は隆々と漲って反り返っていた。
「もしかして…わたし……自分だけ? 気持ちよくなって?……。ご、ごめんなさい」
そっと手に包むだけで伝わる、びっくりするほどの硬さと熱さ。
「意識を失ったクラゲを相手にしても仕方がないだろう?」
夕実は顔を真っ赤に染めて肯いた。
「ごめんなさい……。天辺さん、わたしの躰で気持よくなって……」
夕実は下肢を極限まで大きく広げ、天辺を誘った。
膝を抱えられ、躰を二つに折りたたむようにして天辺が入ってきた。
灼熱した鉄の棒が打ちこまれるように突き進み、子宮口に突き当たる。
躰の奥底が震え、鈍い振動が突き上げた。
秋の午後のひんやりとした静けさに、恥ずかしい声が後から後から迸った。
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経験を重ねるたびに深まっていく悦楽に例えようのない恐れを感じつつも、躰の隅々を温かくしっとりと潤す余韻に夕実は浸りきっていた。
満ち足りた陶酔の海。何も考えられない至福の愉悦。
“幸せ”という観念は正にこの時のためにあるのではないか?
傍らで目を閉じている天辺の下腹にそっと手を伸ばす。
今度は張りを失って可愛らしく小さくなったものを手の平に載せて、安心と充足が押し寄せた。
溢れた蜜を纏い、温かく濡れて、下を向いている陰茎。
――不思議だ。
こればかりは何度経験しても、ついさっき、自分の肉を押し広げて入ってきたものと同じものとは思えない。
「天辺さんは……気持よかった?」
軽く握ると柔らかで可愛らしい温かさがしっとりと手に伝わった。
力を入れ過ぎないように、寒そうに縮こまった睾丸の入った袋をじっくりと弄ぶ。
ゆっくりと目を開いた天辺の視線が夕実を捉えて「ああ」と一言小さく肯いた。
「…よかった……」
温めると縮こまっていた袋の皮が伸びて、中の二つの球体の感触がコリコリと手に伝わった。
「くすぐったいよ」
天辺の目が笑った。
両手を廻し、陰茎と睾丸をすっぽりと包みこむ。
いつの間にか、好きで堪らなくなっている男のかたち。
寛にも…佐々川君にも付いているけど……、どれも少しずつ違う。長さ、太さ、先端のかたち、感じるところ、触られ方の好み……、放出するときの動き、精液の濃さ、匂い、味……。三者三様の微細な違いまで、正確に思い描くことができる……。
かつては恐ろしげで、見るのも怖くて恥ずかしかったのに……、今はいつまでも、こうして握っていたい。口いっぱいに頬張って慈しみ、躰の中心を深奥まで蹂躙されたい。
弄繰り回しているうちに、柔らかさの中に芯が戻ってきた気がした。
天辺が指先を滑らせて乳首を転がす。
重さを愉しむように手の平に載せられた白く柔らかい肉の塊。盛り上がった乳房の先端で淡く色付いた乳首がつんと尖った。
あん…と鼻声が出てしまい、自分の媚態に赤面する。
「おまえは…いい女だ」
「へへ。……照れちゃうな」
腰の丸みを撫でられながら、夕実は満ち足りた充足感に身を任せていた。
両手の平すべてを使って復活し始めた陰茎を注意深くしごく。
「…硬くなってきた」
「なんだ…、まだするのか?」
羞恥が込み上げて、天辺の肩に顔を半分隠した。
「だ、だって……久しぶりなのに……」
「こけしをやっただろう? 林君から貰わなかったか?」
瞬間的にあの硬い感触が躰の中心部に甦った。
「あ、いえ、あ、あの……、ありがとうございました。林さんから…受け取りました」
「使い心地がよくないか?」
「あ、いえ、とんでもない……。天辺さんと同じ大きさで……、ピッタリで…凄く…気持いい……」
途中で自分で喋っていることのあまりにも恥ずかしい内容に気が付いて、夕実は口を噤んだ。
「……恥…ずかし……」
「天辺さんは……困らないんですか? ずっと…その…山に篭ってて……」
「ん?」
「女の人を……抱きたくなったりしないんですか?」
「おまえを思い出して自分で慰めるしかないだろう?」
「嘘」
夕実の目が爛々と輝いた。
「林さんと…温泉に行ったのでしょう?」
夕実は天辺の筋張った首に頬を押し付けた。
「ん? なんだ。彼女から聞いたのか?」
「いつも……温泉に泊まったりするの?」
「何度か鑑定を頼まれたことはあるが、今回は特別だ。普段は日帰りだよ。今回みたいに難航することも稀だしな」
「難航って?」
「まぁ、量が思ったよりも出てね、質もなかなかで最後の掘り出し物というぐらい整理に時間がかかったのも事実なんだが、相手…売主が旧家の三代目だかなんだか知らないが、嫌な奴でな。いもしない競合がいるとちらつかせて、値段を釣り上げてきたんだ。予算は限られてることぐらいわかっているのにな。まぁ、オレはそっちの交渉には口を出せないから、黙って見てるだけで余計歯痒いというか……。進捗が思わしくないのは見ていてわかるんだ。可哀相に無理難題吹っ掛けられて、なんだかんだ一日中付き合わされたり、夜もかなり遅くなって憔悴してたからな。でも、彼女、ああいう性格だからね。交渉はわたしの仕事ですからって、なかなか喋らないんだ。でも、日一日と表情が暗くなるし、とうとう12時過ぎても帰って来ないことがあってな、さすがに拙いなと思って問い質したんだ」
天辺の嘆息が肩の上を通り過ぎていった。
「結果は予想通り。最初から嫌な予感がしたんだ。彼女、田舎じゃ目立つだろ? 歩いているだけでみんなが振り返る……。田舎はなぁ、欲が深いというか、えげつないんだ。特に人間関係に関しては距離感が違うというか、厚かましいというか。金がないなら…ということで、あちこち飲み屋を引き摺り回されて、挙句の果てには躰を要求されたらしい。まぁ、よくある話だけどね。頭にきたから弘大の先生と一緒にガツンと捻りこんでやったら、あっさり尻尾巻いたよ。そんなことがあったから…湯浅に話をして一日休みを貰って……、ちょっとした骨休めだよ」
「で、でも……」
訊きたいことは山ほどあったが、なんとなく気勢を削がれてしまった。
「あの人…結婚されてるんですか?」
「ん? 林君か?」
夕実は上目遣いの黒目を僅かに細めて頷いた。
「いや。詳しいことは知らないが……昔、若くしてへヴィーな恋愛をして結婚したらしいが、半年もたずに自重で空中分解しちゃったって言ってたな」
「そ、そう……」
半分くらいは予期していた言葉のはずなのに、夕実の脳裏に急速に暗雲が立ちこめた。
「ん? どうした? 彼女は悪い人間じゃないよ。有能だし、モノを見る目もぶれない。おまけに彼女は協会で唯一、学芸員の資格を持ってるんだ。協会っていったって半官半民でさ、実質仕切っているのは湯浅だけど、他のお偉いさんは県庁から出向してきた職員と、天下ってきたお茶呑み老人ばかりだし、一度も協会にいるのを見たことがない理事長は文化庁だったかな? 誰も伝統工芸の歴史と今後の展開に関心があるわけじゃないけど、補助金もらうためには必要なわけさ。まぁ、貰った補助金の7割は彼らの人件費で、残りの3割が実質的な事業予算でやりくりは相当きついから、あっちこっち頭下げて寄付をお願いしたり、展示即売会やったりしてるわけだが、雑用も嫌がらずに、なんだかんだとよくやっている……」
夕実の黒い瞳が天辺の視線を捕らえて離さなかった。
「林さん……、きれいな人……」
「なんだ? 唐突に」
「だから……林さんのおしっこ拭いてあげたの?」
一瞬の沈黙の後、天辺はにやりと笑った。
「なんだ。知ってるのか?」
「優しいんですね。ずいぶん。拭いてあげただけ?」
「泣きじゃくってる女の子を押し倒すわけにはいかないだろう?」
諭すような口調に偽りは感じられなかった。
「そういうお前はどうなんだ? 正直、あの写真は驚いたぞ。どこまでスケベなんだ? あそこまで許しているとはな。正直に話してみろ。本命君の前でもしてるのか? 見せるだけか?」
「写真? ……て?」
「素っ裸でにっこり笑って立ち小便してたじゃないか、男に放尿写真まで撮らせて」
一気に形勢が逆転した。
「あ、あれは……」
ここに穴があったら、悲鳴を上げて跳び込んでいるだろう。
「なんだ? 些細な弱みでも握られて付け込まれたのか?」
「そ、そういうわけじゃ…ないけれど……」
「ふん。癪には触るが、ならいいんだ。おまえは男好きのするいい女だからな。近寄ってくる奴が大勢いるだろう? 困ったことがあったら何でも言え」
素っ気ない天辺の言葉に滲み出た温かさが夕実にしっとりと染み込んだ。
「痴漢とか変な人にはしょっちゅう遭うけど……」
「そんなに痴漢に遭うのか? どこでだ?」
「天辺さんに触られたのと同じ…朝、電車とかバスの中がいちばん多いかな……」
「おいおい、馬鹿言うな。あれはおまえが尻を押し付けてきたんだろう? 驚いたのはオレだ。最初はおまえが婦人警官で、実は囮捜査なんじゃないか、あるいは周囲の男とグルで美人局なんじゃないかって疑心暗鬼の塊だったぞ?」
夕実は記憶を反芻したが、あの夏の日からあまりにも多くのことがあり過ぎた。混濁したスープのような意識の海から、尻を撫で上げる手の感触だけがほっこりと浮き上がった。
「そ、そうでしたっけ? じゃ、じゃあ、……相手が天辺さんでよかった……」
「いつも見掛けて、可愛くて好みだったから、ちょっと前から気になっていたのは事実だけどな……」
天辺の目線が鋭く夕実を射抜いた。
「なんだ? 尻を触られるのか?」
夕実はこくりと頷いた。
「お尻だけじゃなくて……、スカート捲くり上げられて…下着下ろされたり……、ボタン外して…ファスナー壊されて、スカート脱がされて……大恥かいたこともある」
天辺は眉を顰めた。
「一度なんか…ぐいぐい指を押し込んでくるから、引き剥がそうとしたら、手に……」
「んん?」
「だから…その……わからない? ……性器を押し付けられて、精液をべったり掛けられて……。もう、泣きたくなっちゃう。父と一緒だったときはよかったのだけど、父は車通勤になっちゃって、一人で乗るようになってからは最悪。学校行くの嫌になっちゃう……」
「毎日か?」
「そこまでじゃないけれど…週に2、3回とか…多いときはもっと……。それに……」
「それになんだ?」
「最近は……一人じゃなくて…2、3人に囲まれて逃げられないようにして…触られてる気がするの」
天辺は低く唸って腕を組んだ。
「それは困ったな。それだけか? 他にはないのか?」
「あとは……、道端で声掛けられて、まるで知り合いのように話しながら車に引っ張り込もうとされたり、コンパで酔わされてベタベタ触られたりとか、居酒屋でトイレに入って鍵掛けようとしたら、いきなり知らない人に扉開けられて……口を押さえられて、怪我したくなきゃ大人しくやらせろって……」
「…おいおい、まいったな。本当か?」
「でも、その時は…いきなり扉ガンガン叩かれて、外で本物の酔っ払いが騒いでて、そいつはびっくりして逃げてっちゃった」
「それで…おまえ、大丈夫だったのか?」
夕実は天辺を安心させるように微笑んだ。
「わたしって……狙われやすいタイプ…なのかな?」
「……そうだな。真面目で、大人しそうで、世間知らずのお嬢様って感じに見えるからな。絶好の獲物だろう。声を上げられないで、黙って我慢するタイプだって見抜かれたんじゃないか?」
夕実はこくりと肯いた。
「そうかもしれない……。一応手で振り払ったり…、足踏んずけたりはしてるんだけど……」
突然、別人のように夕実の黒目が悪戯っぽく輝いた。
「ねぇねぇ、わたしが変な人に拉致されて、犯されたらどうする?」
「馬鹿なこと言ってるんじゃない。山から戻ったら毎朝一緒に行ってやろう。それまでは時間変えるとか、乗る車両を変えるとか考えろ。帰りは誰か彼氏に送ってもらえ。できることなら朝も迎えに来てもらえ。こんなに張ったいい尻を見知らぬ他人に触られるのは許し難い」
夕実は無邪気に喜んだ。
「え〜、でも…嬉しいけど…でも…毎朝天辺さんと一緒だと…わたし困っちゃう、かな?」
「何で困るんだ?」
「だって…この間みたいに、学校行けなくなっちゃう……」
まだ残暑が残る頃、地下鉄でこけしを挿入されたことを端緒に、一日中、狂ったようにセックスした記憶が強烈なコントラストと鮮明な色彩の下に甦った。
「ああ…そういうこともあったな。一日サボっちまって、湯浅は素っ呆けてニヤニヤしてるし、林君はえらくツンツンして口利いてくれないし、ありゃ、まいったな」
なんとなく温かい気持ちに満たされて、天辺の胸に躰を押し付けるとそれに応えるように天辺の腕が夕実の背を抱いた。
「あの……、いつまでこっちにいれるんですか?」
「……すまんな」
夕実の顔がさっと曇った。
「すまんな。明日には戻らなければならない。今、泊まっているところ……、山奥の湯治場に一人で泊まっているんだが、荷物が置きっ放しだし、鍵を管理組合に返さなくちゃいかんのだ」
夕実のなかで心地良さは急速に落胆に変わり始めた。
しゅんとして小さくなってしまった夕実は真正面から潤んだ目で訴えた。
「もう一度……、もう一度抱いて……」
天辺は高窓から入る赤味がかった光を一瞥した。
「夕方、林君が来るんだ」
惨めな気分が喉から突き上がった。
「わ、わたしは……帰ったほうがいいみたいですね」
「こらこら。誤解するな。遊びに来るわけじゃなくて、仕事だよ。お客…といっても役人だが、ディスプレイの参考に店を見せたいらしい。できれば、ちょっといてくれないか? 別に何もしなくてもよいが、オレがでしゃばるとまとまる話もまとまらないからな。お客が来たらお茶を出して貰えるとありがたいんだ」
少しでも期待されているということに慰められた。
「あ、はい。わかりました」
「すまんな。ツマラナイ用事を押し付けてしまって」
夕実は慌てて頭を振った。
「わたしにできることなら…なんでも……」
「さぁ、風呂を沸かしてあるから躰を洗ってやろう」
忍び寄る夕景の中で、夕実の顔が殊更真っ赤に染まった。
「そのまえに……ちょっと…トイレ……」
「ん? トイレは今日から使用禁止だ」
「え、そんな……。じゃあ、わたしも…漏らしちゃおうかな」
自分の言葉に照れた夕実は恥ずかしさを紛らわそうと天辺の躰にしがみついた。
*************************************************
「先生、こんばんは」
暖簾を割って入って来た林の姿を見て夕実は目を見張った。
白地に花柄のミニのワンピースからは真っ白に輝く足が剥きだし。羽織ったピンク色のカーディガンと、真っ白な肌に控えめに光るシルバーのアクセサリが胸元の大胆なV字カットをいっそう強調している。
柔らかくて、華やかで、開いた花弁のように艶やかだった。
打ち合わせのときとは打って変わった、匂い立つような女性的なフォルム。颯爽としていたはずの物腰すらもしっとりと落ち着いて控えめに見えた。
女の夕実ですら見蕩れてしまう。
案の定、林に続いて入って来た三人の客人たちは林の一挙一動に釘付けになっていた。
初老で小太りの押しの強そうな男がいちばん偉いのだろう。背後に控えたいかにも中間管理職風の二人が盛んに持ち上げていた。三人とも鷹揚には構えているが、連れ立って案内する林にまとわりつきながら適当に相槌を打つだけで、その目線はもっぱら林の躰に注がれていた。
「失礼します」
説明が一段落するのを待って、小さく頭を下げた夕実は盆に載せた茶を客人の前に配った。
林のどきどきするほど短いスカートの奥に陰になりきらない下着が見えた。同性の足なのに、匂い立つほど官能的な剥き出しの白さに目が釘付けになってしまう。
ぴっちりと合わせたかたちのよい膝に手を置いているのすら視線を誘導しているようにしか見えない。
――ああ。彼女はわかっているのだ。静脈が浮いて見える乳房を半分覗かせるような胸の谷間も剥き出しの太腿も、意識して男たちの視線を集めていることを。彼女は自らの意志で見せ付けているのだ。
「あ、そうだ。こちらの先生の助手で久野夕実ちゃん。うちの協会のイメージ・ガールもお願いしてるんです。と〜っても可愛いでしょ?」
思いがけない林の言葉に夕実は赤面した。
男たちの無遠慮な視線が二匹目の獲物を見つけたように爛々と輝いた。
林は自分に向けられる露骨な視線も、わざとらしく寄り掛かり、腰に腕を回し、足の素肌に触れようとする男たちの行為も完璧に無視して夕実に微笑んだ。
「ちょっとこれ持ってみて」
手近のこけしを一つ手渡されて、どぎまぎしながらも胸の前で抱えて見せた。
「ほら、こうして見ると、こけしの顔とよく似てるでしょ? 彼女をモデルにしてるんですよ」
男たちの気を惹きながら、林は巧みにこけしを宣伝していた。
何故、聡明で有能な彼女がこんな状態に甘んじているのか? それは、もちろん…天辺のためだろう。彼女は天辺を売り込んでいるのだ……。
それぐらいは夕実にも瞬時に理解できた。
――いつも迷惑掛けているだけじゃなく、わたしだって……林に負けるわけにはいかない……。
そんな意識が夕実を殊更大胆にした。
「よかったらお一ついかがですか? 奥さんや娘さんへのお土産に」
夕実は精一杯微笑んで、馴れ馴れしく寄ってくる男たちに媚を振り撒いた。
こけしを胸の谷間に抱えると自然と左右の乳房の膨らみが強調されて、布地にくっきりと浮き上がった乳首に男達の目が釘付けになった。天辺に見てもらいたくて無理して穿いてきた、下ろしたての短いスカートから太腿が剥き出しになっても裾を引っ張ったりはしない。手近な客の近くに寄り添うように座ると、効果はてきめんに現れた。
「う、うん、可愛いね。…そうだねぇ……。でも、これくらいになると高いんだろ?」
こけしに注目するふりをして、薄く透けた左右の乳首を凝視する視線が滑稽だった。
「そんなことないですよ。お土産屋さんなんかの量産品に比べれば多少値は張りますけど……」
さり気なく腰に回された腕も解いたりはしないし、引き摺られてスカートの裾が大きく乱れても直したりはしない。
「うんうん。土産屋の田舎娘に比べりゃ、そりゃ、確かに雲泥の差だね」
反対側からも胸元を覗けるように、少し前屈みに躰を倒し、シャツに空気を入れて襟元を広げる。いつもより二つ多くボタンが開いているから、角度によっては乳房が丸見えかも知れない。更に、膝を開き気味に立ててやると、客人たちはもう露骨な視線と馴れ馴れしい振る舞いを隠そうとはしなくなった。
「大きいのもいいけれど、こういう小さいのも可愛いでしょ? お部屋に飾っても邪魔にならないし……」
丁度、勃起した男性器程度のこけしを手にとって、両手で包み上げ擦るように撫でると、意図を察した男が剥きだしの太腿に血走った目を向けた。腰に廻された手の平が滑り降り、さり気なく尻を撫で、背後から布地の内側に潜り込んでも慌てたりはしない。
「三つセットでどうですか? わたしはこのくらいがいちばん好き……」
媚びた笑みを浮かべながらちょっとだけ腰を浮かしてやると、素早く指先が尻の谷間に潜り込んだ。下着の上から陰部に指先が押し当てられて、微妙な刺激を加え始める。
「こけしを買うとこの子がもれなく付いてくるのかな?」
誰かがツマラナイ冗談を言うと野卑な笑いが沸き起こった。
「この子は非売品ですよ〜。もう、課長ッたら!」
夕実の下に潜り込んだ手先を林が横から腕を絡めて引き抜いた。行き所を失った手はすぐに林の太腿を撫で回す。
「じゃぁ、明日にでも役所のほうへお届けに上がります」
林はその動きを完璧に無視して、満面の笑みを浮かべて念押しした。
「う〜ん。そうだね。負けたよ。適当に見繕って、頼むよ」
しな垂れ掛かる男に肘鉄を食らわしながらも、テキパキと話をまとめ上げる林の話術に半ば感心した。
*************************************************
車が走り去る音が宵闇に消えていくと、林が一人、紙袋を提げて戻って来た。
脇目も振らずにつかつかと天辺の前に歩み寄る。
「先生、今日はすいませんでした。朝からこっち来るつもりで準備していたのに、急にご指名だからって無理矢理なんですよ、もう……」
「ああ、それはかまわんよ。代わりに湯浅さんが来てたし」
「それと…これ、ありがとうございました。お借りしていた服です」
「ああ……」
自然と林の顔が薔薇色に染まった。
「あの……、その……、下着はちゃんと洗ってありますけど…わたしが使ったのじゃ、お嫌でしょうから、新品を入れてありますんで、そちらをお使い下さい」
「ああ、…そう。そこまでしなくてよかったのに。別に気にならないよ」
林の顔がますます赤く染まった。
「いえ。その…御迷惑お掛けしちゃって、申し訳ありませんでした」
唐突に振り返った林は目元をほんのりと染めたまま満面の笑みを浮かべた。
「夕実ちゃん、こんばんは。きょうはご苦労様」
「あ、いえ、その……」
彼女は聞いていないのだろうか? 自分のしでかした不始末が急に思い返されて、夕実は俯いた。
「さっきも、ありがとうね。いちばんシツコイ奴を引き受けてくれて助かった。大丈夫だった? あいつホントに手が早くてさ。張り倒してやろうかってずっとムカムカしてて、わたし、もう、キレる寸前だったから……」
苦虫を噛み潰したような顔で天辺が割って入った。
「ちょっとそのことなんだけど、林君。君の気持は嬉しいが……」
「まったく…あのスケベ爺。人をキャバクラのホステスと間違えてんじゃない? 悔し〜い」
夕実は上気して一気に捲し立てる林の姿に呆気にとられたが、その才気溢れる活発さに憧れにも似た不思議な親近感を抑えることができなかった。
「だからって……、そんな格好で、あそこまですることはないだろう? いい歳した男だって分別のない奴は多いぞ?」
「この格好は…だって、先生に久々にお会いできるから……。せっかく頑張って若作りしてきたのに……。でも、あれくらいなら平気。彼らだってまだ将来がある身です。露骨に手は出してくるけど、そこまで馬鹿じゃないですよ。詰まらない不祥事で未来を棒に振るようなことはしないでしょう?」
天辺は林の勢いに気おされるように口をへの字に曲げて沈黙した。
「わたし、もっと多くの人に先生の作品を見て貰いたいし、多くの人に知って欲しいんです。せっかく県庁のロビーに飾るんだから、よくある隅っこのほうで埃をかぶってるようなものではなくて、ドーンと派手にしたいんです。誰が観ても圧巻って感じに……。そのために、わたしができることは何でもするつもりです。接待しろってことならいくらでもするし、裸になれって言われれば裸になるし、足を開けって言われれば開きます」
「おいおい。過激だな。それは困るよ。君が他の男の前で裸になることも、他の男に躰を許すことも、どっちも許さん」
見る見るうちに林の目がしっとりと潤んだ。
彼女は溢れる情感を持て余すように小さく肯いて、挑むような視線で真正面から天辺を見詰め直した。
「じゃぁ、わたしは……先生の前でだけ裸になって、先生にだけ抱かれます」
天辺の射抜くような視線を真正面から受け止めて、林の鮮やかに彩られた唇が小刻みに震えていた。

突然振り向いた林が夕実を真正面から見詰め、ほんの数秒、まるで哀願するように目だけで訴えた。
天辺以外のすべてを意識から締め出した林の切れ長の目が沈みかかった夕陽を浴びて赤く燃え上がっていた。
天女が身に纏った羽衣を翻すような軽やかな身のこなし。
蝶が舞うように衣服が舞って、一瞬の後、天辺の目の前に全裸になった林が前を隠して立っていた。
一生懸命微笑もうとした笑顔が緊張と羞恥に引き攣った。
「自分からこんなことをする女は嫌いですか?」
ゆっくりと首を振って林の顔に手を伸ばした天辺が、柔らかくウェーブが掛かった髪を柔らかく後ろに流した。
「とても…きれいだね」
天辺を見上げる顔が喜びに歪んだ。
「もっと、わたしの…裸を……見てください」
前を隠した手が解かれて、輝く裸身が完全に露わになった。
細く締まった手足、ピンと張った乳房、引き締まったウエスト、真っ白な下腹の終端で淡い陰毛が柔らかな陰を作っていた。流れるような黒髪と思ったよりはずっと華奢な、均整のとれた優しい躰付き。
夕実はその姿に見蕩れ、目が離せなかった。
林は泣き笑いのような表情を浮かべると、そのまま後ずさるように展示台に崩れ落ちた。
眩いほどの照明の下に白い花が横臥した。
後ろ肘を突いて仰向けに躰を横たえた林の下肢が壊れた人形のように広がった。
強烈なコントラストをつくる陰毛の影の下に、鮮やかな紅色の亀裂が花開いた。既にたっぷりと湛えられた蜜が射し込む光にてらてらと輝いた。
祈るような表情が天辺を誘う。
林は天辺の手にそっと手を伸ばし、引き寄せた手の平を自らの乳房にあてがった。
「先生のお乳ですから…自由にしてください」
天辺の指が林の真っ白な乳房に食い込んで鷲掴みにした。
「お願い……。わたしの躰を…先生の自由にしてください」
潤みきった目と喘ぐような声に天辺が応えた。
手を伸ばせば届きそうな距離で男と女が交わっていた。
さっきまで自分の中に入っていた天辺の性器が二つに折りたたまれた林の体内に真上から没し、抉るように律動していた。てらてらと濡れそぼる肉棒に陰唇が形を変えてまとわりついた。薄く香る白檀を覆い尽くすように華やかな女の匂いが濃厚に漂い始めた。天辺の強靭な動きをすべて受け入れるように、滑らかな林の裸体が軋み、たわみ、伸縮する。
瞬きすらできない光景だった。
天辺の硬い尻が音を立てて林を打っていた。林の細い喘ぎ声が少しずつオクターブを上げていっても、不思議と嫉妬は感じなかった。
切ない喘ぎ声はすぐに断続的な悲鳴になった。
天辺の背中を林のか細い指が掻き毟り、やがて突き刺さるように硬直と痙攣が交互に繰り返されて、天辺の腰を抱え込んだ両足がぴんと伸びきって天に突き上げた。
壊れた人形のように動かなくなった林から、黒い影がむっくりと躰を起こした。
荒い息使い。天辺の顎から汗が一滴、林の盛り上がった乳房に滴った。
真正面に向き直った影の双眸が青白く輝いた。
夕実は蛇に睨まれた蛙のように身動きすらできなかった。
正面に屹立したものから目が離せなかった。
目の前で赤黒く濡れて屹立したものに触れ、頬擦りする。
「わたしのために…とっておいてくれたの?」
先端を口に含むと亀頭が口内でいっぱいに広がった。
無我夢中で首を振り、舌と口の粘膜をすべて動員して硬直した男の性器を味わった。
男を口に咥えたまま、自らスカートを落とし、ショーツを剥き下ろす。最後にシャツを肩から落とし、林に負けじと全裸を晒す。
「わたしの裸も見て……」
夕実は天辺の性器の先端を自らの乳首に押し当てた。
「…きもちいい?」
天辺が肯くのを見上げ、上下左右に乳首を抉り出すように動きを加える。
「おまえは天性の娼婦だな。自分では意識していないのに、ほんの一瞬で男を虜にする」
「わたしも…きもちいい……」
自分が滴るほどに潤っていることにはずっと前から気付いていた。
「…もう……ね、…おかしくなりそう……」
不意に天辺の背後に熱っぽい視線を感じ、仰ぎ見る。
打ち捨てられたような肢体。首だけが向きを変え、林の目だけがキラキラと挑むように輝いた。
身を焦がす欲望に翻弄されて、林に見られているという意識が羞恥心の垣根を簡単に取り払っていた。
「…お願い……、早く林さんと同じようにして……」
「這え。尻を掲げるんだ」
「は、はい」
弓なりに背筋を反らせ、興奮と恥辱に打ち震えながら天辺の眼前に尻を持ち上げる。
肛門も性器もすべてが明る過ぎる照明に露わになっているはずだった。
「どこに欲しいんだ?」
冷たい天辺の問いかけに、指でぬめる陰唇を左右に大きく広げる。
「こ、ここに……入れて」
答えると同時に天辺が先端をあてがった。
自ら尻を突き上げるのと同時に天辺が押し込んできた。
膣を突き進む熱さと行き止まりに激突する衝撃に、喉から悲鳴が迸るが、いつものように堪えようとはしなかった。
「出して。出…して。天辺さ……んの……わたしの…子宮にぶち…まけて!」
がっしりと尻を抱えられたまま、突き抜ける悦楽に夕実は頭を掻き毟った。
『空の青 10−2』(続く)
作成日:2009/06/11 最終更新日:2009/06/11