まだ5時半だというのに、とっぷりと暮れた冬の街にはときおり白いものがちらついた。 帰路を急ぐ渋滞が始まった大通りから横道に入ると、凍りつくような空気に二人の靴音が単調に響いた。腰に腕が回されて、抵抗のできない力で引き寄せられると、まるで恋人同士のように躰が密着した。
手を引かれ、躊躇いながらも急な階段を降りて行く地下の穴倉。
青淡くくすんだ照明の光が水底のように沈殿し、ぼおっと浮き上がった藍色ガラスのカウンター。その片隅にごく普通の…部下と上司のように、あくまでも自然を装って並んだ。
黒ビールを頼んだ平野と同じものを飲むのが嫌で選んだジンライム。
淡い照明に緑がかった重い液体。一口付けて、そのとるりとした濃さに驚いた。
アルコールと強い松脂の匂いが躰の細胞の隅々に染み渡る。
ルッコラとクレソンをドライトマトで和えた香味サラダに、アンチョビーと蒸した鮑、目の前で切り分けられたまだ湯気が立つ分厚いローストビーフ、かりかりに焼いたパンに蟹とアボガドをのせたブルスケッタ。話はちっとも弾まなかったが、食事はとびきりおいしかった。
小さな妥協が汚泥のように積み重なって、いつのまにか理性と常識を覆い尽くす。
肩が触れ合うばかりに身を寄せられても気付かない振りをして、さりげなく足に手を置かれても邪険に押し戻したりはしない。
太い首。濃い眉。その下の薄く細められた目。
あるいは、グラスを掴む大きく分厚い手。太く節ばった指。
その目が酷薄な輝きを湛えるとき、その手が身動きができぬよう躰を押さえつけ、蹂躙が始まる……。あまりにも的確で直截な行為に思わず反応してしまった屈辱と羞恥の記憶が、思考の論理回路をゆっくりと広がりながら侵していく。
「札幌は…もう雪?」
「そうだな。……一人身には堪える寒さだな」
スカートに置かれた指先がするりと動き、膝の素肌に触れた。
「向こうで……また、強引にキレイな女の子でも、ものにすれば? 罠に嵌めて無理矢理躰の関係に持ち込んで……」
「そんな危ない橋を渡ってまでモノにしたい女なんて滅多にいないさ」
「今のは嘘。ダメですよ、真面目でいたいけな女の子の夢をぶち壊しにしちゃ」
ふんと平野が鼻で笑った。
「おまえが学生じゃなければ、さらっていくところだ」
「わたしを? さらってどうするの?」
膝に置かれた手が裾を持ち上げながら太腿をゆっくりと擦り上げていた。
「一緒に暮らすんだよ。雪に埋もれてな。一日中、たっぷりと腰が抜けて立てないくらい可愛がってやるよ」
唐突に顔が火照り、尚も無遠慮に遡ろうとする男の手を掴んで押え付けた。
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トイレに立つ前から予想はしていたが、驚くほどの分泌液の量に半ば呆れ、半ば情けなくなった。バッグからウェットティッシュを取り出して、スカートが汚れないように慎重に股間を拭った。ティッシュが真っ赤に汚れ、ぎょっとしたが、すぐに昼間佐々川君にされた? いや、自分から望んだことを思いだした。恥ずかしい部分に塗りたくられた口紅を丁寧に拭きとって、冷たい水で頬をパンパンと叩き、下腹に力を入れて身を引き締めた。
夕実は鏡に写った顔をじっと眺めた。目元が少し赤かった。
一瞬、このまま逃げようか? という囁きが頭の中で聞こえたが、食事のお礼も言っていないことを思いだした。
夕実は本来の場所に口紅をきっちりと引き直して、髪を整えた。
フロアに戻ると平野はカウンターの隅で彫像のように固まって頬杖を付いていた。その背中は思っていたよりもずっと小さかった。
「…お待たせ……しました……」
振り向いた平野の顔に驚きの表情が浮かんで、すぐに消えた。
まるで所有物のように腰、というよりは尻に腕を回されて引き寄せられたが、不思議と抗う気持ちは失せていた。
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足元が少しふらついた。
「食事…御馳走様でした。とっても……おいしかったです……」
平野はそれには答えず、店を出ると当たり前のように片手を上げてタクシーを止めた。
自動ドアが目の前で開く。
「送っていくよ」
信用はしていなかったが、免罪符代わりの言葉に身を委ね、寒風から逃れるようにシートに腰を落ち着けた。
平野が小声で運転手に行先を告げたが、敢えて聞こうとはしなかった。
車が動き出すと自然に抱き寄せられて躰が密着した。
ルームミラーの死角で当然のように先ほどの続きが始まる。こうなることはわかっていたはず……。
暗がりのなかで、無骨な手はより大胆に、より強引になった。
必死に閉じた膝はあっさり割られ、手先は上流へ遡る。内腿の肉を揉みしだかれながら、スカートの裾が跳ね上げられる。
「だめ!」
平野の耳に口を寄せて強く囁く。
「困ります! 見えちゃう……」
押されるように下肢の角度が僅かに変わり、完全にシートの陰に押しやられた。
「肩から上しか見えないよ。心配しなくていい」
剥き出しにされた太腿に両手を突っ張って、不躾な手の動きを妨げてはいる……。
それでも許してしまった小さな突破口は広がりこそすれ、縮まる予兆はない。
潜り込もうとする手を渾身の力で押し戻しながらも、男の強引さに負けてしまうことを心のどこかが許していた。
舌打ちとともにブレーキが強く踏まれ車が停まった。
赤信号だ。
苛立った平野が耳元に口を寄せる。
「大人しくしろよ。運ちゃんが不審に思うだろ……」
さりげなくルームミラーの角度を調整した運転手の動きに怯んで、一瞬ガードの手が緩んだ。
その瞬間、かたちばかりの努力も虚しく男の指先が行き止まりに達してしまった。

夕実の意思とは関わりなく、そこは既にたっぷりと潤んで羞恥に躰が震えるほど蜜を湛えていた。
太い指先は嬉々として小陰唇を割り、肛門から陰核までの密にまみれ濡れそぼる形を正確にトレースし始めた。
適度な荒々しさを感じさせながらも女の躰を知り尽くしたいやらしさ。
入りそうで入らない…膣口をもてあそぶような刺激。
そう……、寛の愛撫に近い……。寛の動きをもっとねちっこく、執拗にした……。
「いや…やめて……ください」
体面を取り繕うだけの中途半端な抵抗。
内股に潜り込んだ手を引き抜こうとしてもびくともしない。
「驚いたな…パンティも穿いてないのか? さっき、もしかしたらとは思ったが…とことん助平な女だな。ん?」
平野の目が好奇心と期待に輝いた。
「ち、違う…。あなたのために脱いだわけじゃない。今日は…最初から穿いてなかったの」
再び動き出した車のエンジン音に紛れて言い訳をする。
陰核を弾くようにこすられて強い刺激が躰を突き上げ、迸りそうになる喘ぎ声を抑えようとパクパク息を呑む。
強く合わせていたはずの膝はいつの間にかだらしなく開いて、性器をもてあそぶ男の手に最大限の自由を与えていた。
一本? 二本? 膣を抉る性急な指の動きに腰がガクガクと震える。
「お客さ〜ん。大通り側ですかね? それとも高架の側?」
目を瞑ってしまいそうになる感覚が現実に引き戻された。
「ああ…高架の前で停めてよ」
右手の行為を包み隠すように、眠そうにわざと間延びした平野の声が答えた。
猛然としたダッシュの後すぐにブレーキが軋み、身体が前にのめった。
滴る液体とともにようやく平野の指が膣から抜け出ていった。
うら寂しい鉄道沿いの側道。人通り一つなく凍てついた空気。
等間隔に設置された街路灯の向かいだけがぼんやりと明るく、高架の巨大なコンクリート柱を闇に白く浮かび上がらせていた。
パタンと乾いた音を立ててタクシーの自動ドアが閉まる。
平野に腕をとられたまま、夕実は夜の道に呆然と立ち尽した。膝が震え、座り込みそうになるのを必死に耐える。逃げるようにタクシーの赤いテールランプが小さくなって……角を曲がって消えた。
「離して……」
叫んだはずの言葉は頭上から降ってきた轟音に掻き消された。
パンタグラフが架線を擦る耳障りな音と足元から伝わる地響きのような振動。見上げた高架の上を光の帯が延々と流れていた。
促されるように背を押されると、目の前にマンションの入り口があった。
10日ほど前に見た同じ光景。そこでされたことが怒涛のように甦った。
平野がエントランスのドアを押し開けた一瞬の隙を突いて、腕を振りほどく。
夕実は脱兎の如く走り出した。道路を横切って高架下の駐車場に逃げ込む。
一瞬のタイムラグの後、あっという間に背後に靴音が迫る。
反対側の境界は高いフェンスで封じられていた。高架の一辺が2mはありそうな巨大なコンクリート柱の間を、右に左に平野の影を振り切りながら闇雲に逃げ惑う。
ようやく見つけた通路に扉があった。
飛びついて取っ手をがちゃがちゃと回す。
フェンスの扉は無情にも施錠されていて、夕実の力ではびくともしない。
――しまった!
透けて見える向こう側。銀色の冷たい光が煌々と無数の網目のように張り巡らされた鉄路――在来線の貨物ヤードを照らし出していた。
夕実は自分の目論見の甘さに臍を噛んだ。
再び、追いつ追われつの堂々巡り。息が切れ、凍てついた空気が吐く息で真っ白に染まった。
いつの間にか平野の気配を見失っていた。
そろそろと暗がりを伝い耳を澄ませても、コツコツとアスファルトに響くのは自分の足音だけだった。慌てて周囲を見回しても夜の闇は張り詰めた空気を湛えて沈黙しているだけだった。柱の影からそっと道路を覗いた瞬間、いきなり背後から口を塞がれて引き摺られた。夕実は悲鳴を上げたが声にならなかった。
凍てついた空気を裂くようにすぐ近くで汽笛が鳴った。僅かなドップラー効果を伴って、唸りを上げる黒い塊が通り過ぎると、後には線路の隙間に鉄輪が当たる単調で軽快な金属音が延々と繰り返された。
フェンスの鼻先を、延々と長い貨物列車が通過していた。
貨車と貨車の僅かな空隙から、古い映画フィルムのように一定の間隔で間歇的に差し込む銀色の光が巨大な柱の陰の闇を真昼のように照らし出す。
重なり合ってうごめく影は一定のリズムで繰り返し伸縮していた。
靴が脱げてソックスのつま先が突き出すように宙を蹴る。
振り乱した黒髪が輪になって、闇雲に振り回した腕が覆い被さる黒い塊に突き立てられる。
前が大きく割れたコートが羽のように翻り、布地が裂ける音と共に引き裂かれたシャツから白く輝く丸い乳房が飛び出した。
背を冷え切った柱に押し付けられたまま、スカートが腰まで捲くれ上がる。真っ白な下肢が大きく広げたまま抱きかかえられ、最後の絶望的な悲鳴は傍らを通り抜ける単調で耳障りな騒音にかき消された。
容赦なく浅黒く野太い肉棒が真下から夕実の濡れた花弁にずぶずぶともぐりこんだ。
逃れようと暴れれば暴れるほど躰の重みが貫かれた一点に集中し、最深部を容赦なく抉った。
「いやっ、いやっ…やめて……」
泣いても、叫んでも、叩いても、生き物が作り出す細々とした音は延々と傍らを通り過ぎるメカニカルな金属音と、ときおり鈍い振動と共に降りかかってくる轟音に完膚なまでに呑み込まれた。
荒い息。凍てついた空気が二人の息で真っ白にもやった。
平野が真下から突き上げる度に、むっちりと盛り上がった乳房が音を立てんばかりに震えた。
「いい躰だ…最高に気持ちいいぞ」
リズミカルで強靭な律動が性急さを増す。
「たっぷりと注ぎ込んでやろう……」
既にすべての抵抗力が失われて、性器から伝わる感覚だけが夕実を支配していた。
――そんな…やだ……。
言葉になるはずの意思は躰を深奥から燃やす漆黒の炎と絶望感に呑み込まれ、言葉にならない叫びだけが抑えても抑えても迸った。
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気が付くと、仰向けに寝かされて万歳をするように躰を押え付けられていた。
腕を振り回そうとしても手首が軋むように痛み、自由が利かなかった。
脱がされたシャツで手首を縛られて、万歳するようにベッドの頭に括り付けられていた。
躰を覆っていたはずの布地は何一つ残っていなかった。
乱暴に乳房を握られたまま口を吸われ、捻じ込まれた舌先が逃げても逃げても舌に絡みつく。乳首を強烈に吸われても、押さえ込まれたまま身動き一つできない。凌辱の矛先は焦らすようにゆっくりと剥き出しの下半身に向かう。
平野の強引な愛撫に躰はすっかり反応して潤っていた。
「よく濡れるいいマンコじゃないか……」
小馬鹿にしたような口調で指摘され、身を捩って恥部を隠そうとしても、足首を掴まれていとも簡単に下肢を割られてしまう。広げ切った足をがっしりと抱えられて、剥き出しの性器に平野の口が吸いつく。じゅるじゅるとわざと音を立てて淫液が吸われ、思わず声を上げてしまう恥辱と屈辱。陰核を押し包む生温かさ。すぐに突起全体を吸引されて、押さえ込まれた腰が否応なく小刻みに震えだした。舌先が陰核と包皮の隙間に差し込まれ、包皮を剥き上げるように弧を描き始めると、もう、本能を押さえ込むことはできなかった。
太い指がゆっくりと膣口を押し広げ、挿入された指の腹が陰核の裏側を押し上げた。内側から圧迫されたまま、包皮を剥かれた陰核を舌で転がされ、突き上げる悦びに頭が狂う。
息も絶え絶えになりながらも、絶頂の極みが際限もなく襲い掛かってきた。
「尻を持ち上げて這えよ」
平野の酷薄な声が果てしなく遠くに聞こえた。
いやいやと頭を振っても、うつ伏せに転がされて、容赦なく腰が引き上げられる。
犬のように四つん這いにされて尻を高く掲げさせられ、散々、屈辱的な言葉でいたぶられた後、平野は情け容赦なく押し込んできた。
侵入を妨げるように尻を振り、膣を締め付けても、平野は犯すことを愉しむように円を描くように突き進んできた。深々と行き止まりまで挿入されると、もはや抵抗をする意志も意地もすっかり萎えて、男の動きをただ受け入れるだけになっていた。
「犯されてる気分はどうだ?」
――う…あ……あああ……。
激しく息もつかせぬ突き入れに、頭の芯が溶け、考えることも、答えることすらままならない。膝が抜け、突っ伏すように崩れ落ちても呻き声だけがだらだらと溢れ続けた。
仰向けにされると平野が胸に跨ってきた。
体重が掛かり過ぎないように角度が調節されて、ぬるぬると光る男の性器の濡れた先端が顔を這い回る。額、目、鼻、頬から耳、顎……。男の性器を濡らした自分の膣液と平野の分泌液で顔がどろどろに汚された。
最後に唇に怒張した性器が押し当てられた。
「しゃぶれよ」
命じられたままに陰茎を口に含み、舌を絡め吸う。
拒んだところで情況が好転するはずはなかった。
舌と粘膜を総動員して男を愛撫する。少しでも早く射精させるために。
男の好む愛撫は知っている。
佐々川君に、天辺に、そして寛にするように。
「上手じゃないか」
最初はゆっくりと、やがて性急に、男は押し込んできた。
頭を抱えられているから、どう足掻いても逃げることはできない。
物のように扱われ、口を犯されている意識が麻薬のように染み渡る。
「出すぞ」
咳き込まないように舌で受け止める準備をした途端、先端から勢いのある奔流が飛び出した。滅茶苦茶な突き入れと、放出される精液の量に驚いて咽そうになるのを必死にこらえる。がくがくと痙攣。頭を押える力が不意に弱まって……ようやく……。
「飲めよ」
言われた通りに、舌に、口内に生温く粘りつく苦味を嚥下する。
まるで好きな男にするように、その濃さと量を味わいながら粘る熱さを喉の奥へ垂れ流す。
まだヒクヒクと震えている性器をしごくように口できれいにすると、平野が満足そうに笑ったような気がして、夕実は放心しながらも安堵した。
半ば朦朧とする意識の片隅で、不意に鳴り出した軽やかなメロディ。
ほんの数秒だけ。
……いつもよく聞こえてくる…。ハッと意識が目覚める。
バッグの中の携帯……メールだ。
平野が聞き逃してくれることを祈る……。
が、無情にもしつこく乳房をなぶっていた平野の頭がむっくりと起き上がった。
目と目が間近に合って、平野は笑い、夕実は首を振る。
躰を起こしてもゆっくりと夕実の躰を貫いた律動は止まらない。深々と挿入されたまま平野の腕が伸びて、夕実のバッグを漁った。
「ん? これか?」
平野の顔が嫌らしく歪んだ。
「おや、メールかな?」
携帯電話を開いた平野が勝手に操作を始める。
――誰だろう? 母? それとも……。
「やめて……」
答えの代わりに膝を抱えられ、躰を折り曲げられて一段と深く挿入された。
何をされても両手の自由を奪われている夕実には為す術がなかった。
奥の壁に先端がずんずんと当り、気が遠くなる。
「おやおや。佐々川君じゃないか」
にやけた顔が見下ろした。
『今、帰ってきた。夕実ちゃんのパンツの酸っぱい匂いを嗅ぎながら。お出迎えは全部で15人の等身大の夕実ちゃん。裸で立ったままおしっこしてる夕実ちゃんが6人。足を広げて陰唇開きしてる夕実ちゃんが3人。あとは四つん這いで真っ白なお尻を向けて、お尻の穴をくっきりと見せてくれてる夕実ちゃん。今、夕実ちゃんのおしっこの音を聞きながら、お尻の穴を舐めている。今日はお尻の穴に出したい気分。壁一面の夕実ちゃん。平野に見せてやりたいよ。あいつ、最近夕実ちゃんのことが気になってしょうがないって感じだな。……もう、寝ちゃったかな?』
ねちっこい口調で朗読されて、顔から火が出そうな屈辱が燃え上がった。
「ご指名されちゃったな。じゃあ代わりに、オレの下で泣きそうな顔でよがってる夕実ちゃんを見せてあげようかな? なんだ? 穿いてたパンツあげたり、放尿写真まで撮らせてるのか? こんな真面目そうな顔してるのになぁ? おしっこの音ってなんだ? 教えろよ」
「し、しらない……」
不意打ちの屈辱がもたらした羞恥に身を捩るが、顔を覆うことも、背けることもできない。
「こんな上品な顔して、おしっこの音、録音させてるのか? あ、ビデオか……。こら、正直に言えよ」
「しらない!」
「おまえが言わないなら、しょうがない。佐々川君に聞いてみるか……」
ふざけた口調で語りながら、平野は携帯を耳に当てた。
「え、っ、嘘! ちょっと、やめて!」
僅かに軋むベッドの音に、転がるような携帯のコール音が重なった。
「お願い! やめて!!」
《もしもし……》
微かな雑音のあとに聞こえてきた声に夕実は息を呑んだ。
《…もっしもーし、夕実ちゃ…》
唐突に音声が途絶した。
「で? おしっこの音って?」
夕実は力なく首を振る。
平野の指が再びボタンに掛かる。
にっと笑った平野の顔に、絶望感で目の前が真っ暗になりかかる。
「わかった…から…。言うから、やめて。ビデオ。おしっこは…いつもビデオに撮ってるから……それだと思う……」
あまりの屈辱に、溢れた涙がはらはらと目尻を伝い落ちた。
「オレも見たいな、そのビデオ。写真も見せろよ。コピーを貰おうか」
「…いや……」
間髪をいれずにコール音。今度は着信音だ。跳び上がりそうに音が大きい。
「じゃぁ、佐々川君に直接貰うからいいよ」
「やめて! コピーでも何でもするから……」
3回、4回。コール音は無情に鳴り続ける。
焦る夕実を下敷きにした平野はいやらしいくらいゆっくりと液晶を眺め、無情にも再びボタンを押した。
すっと伸びた手。いきなり携帯が夕実の耳と口に押し当てられた。
《もしもし? 夕実ちゃん? あれ? 切れちゃった?》
耳元に聞こえた声に、夕実は一瞬茫然自失して、慌てて取り繕った。
「あ、もしもし……」
《夕実ちゃん? 今、電話くれたよね?》
「うん。ごめん、切れちゃったみたい……」
フル回転で頭を制御して、言語中枢を統制する。くるりと躰を回転されて、尻を抱え上げられるがそこまで意識が廻らない。
《もしかして…メール見て電話くれたの?》
まるで会話が聞こえているように平野の動きが早まった。
「うん、そう。もう……、エッチなことばかり書かないで。わたし、困っちゃう……あっ、う……」
「夕実ちゃん?」
平野がバックから滅茶苦茶に突き入れてきた。意図せぬ声が漏れてしまう。
「あ、う、や、んんん……ちがう…なんでもないの……」
身を捩ろうにも、がっしりと下半身を抱えられて為す術がない。
「ごめん…親が呼んでるの……。また…あした……」
必死の思いで目で訴えかけると転がった携帯電話を手に取った平野が通話を切った。
「なんだ? もうお終いか?」
無理矢理押さえ込んで耐えていたものが怒涛のように押し寄せた。
あっさりと臨界点を越え、悲鳴が喉を突き上げた。
それなのに頂点に達しそうになる寸前で、平野の動きが潮が引くように後退し、減衰する。それが何度も繰り返されて、遊ばれているのだとわかって今度は焦燥感に気が狂い始めた。
「……やめないで」
平野の無情な仕打ちに、プライドはおろか、羞恥心までが霧散して、あられもない声で懇願してしまう。
「お願い……最後までいかせて! ね、なんでもするから…なんでも言うことを聞くから……」
尻の肉が突き入れる平野の下肢に当たり、パンパンと音を立てて震えていた。
熱く燃え滾る杭を躰の深底まで穿たれていたから、その熱さの後ろ側に広がり始めた冷たい感触に気付くのが遅れた。徐々に染みていくような冷たさは、やがて刺すような刺激を伴いながら下腹全体に広がり始めた。
「ちょ……と、な、何を…したの……?」
既に朦朧とした意識の下では、目の前に放り投げられた小さなビニールの容器の正体にはすぐに思い至らなかった。熱さと冷たさが同居して、陶酔と覚醒、弛緩と緊張が夕実のなかでせめぎ合っていた。
「何? これ……」
答えに至る前に、躰が日常的な生理現象を要求した。
――えっ? ウソ……。そんなはずは……。
躰を捩って挿入されていたものを外すと、もう間違いのない事態を認識した。
「ト、トイレ……に、行かせて……」
振り向いた先で、上から見下ろす平野の顔が冷たくにやついた。
目の前に転がったビニル容器にスポイトのような管が付いて、微かな芳香剤の匂いを放っていることに気付いた時、夕実はようやく自分が置かれている事態を理解した。
「あ、あの……トイレに……。…酷い……。手を……ほどいて」
欲求は容赦なく夕実を突き上げた。
「なんだ? 今、なんでもするって言ったじゃないか。これから尻の穴を犯してやるから、その前に中身を出してキレイにしておかないとな……」
平野がどこからか持ち出した、小さな青いプラスチックの洗面器を見て、夕実は絶望に慄いた。
「いや。いや、絶対いや。お願い。それだけは……許して……。お尻の穴は…あげるから……、自由にしていいから……。それは…いやです」
平野が見せた微かな表情の変化に、一縷の希望を見て夕実はすがりついた。
「ね? 奴隷になる……。あなたの奴隷になるから……。裸になれって言われたら、いつでもどこでも言う通りにする。おしっこもするから。好きなときにしていいから、お尻も、胸も全部あげるから……、それだけは許して」
夕実を焦らそうと、わざとらしく平野は考え込む振りをした。
「そうだなぁ。それは魅力的な提案だけど……」
「だけど何? なんなの? もうだめ…お願い。早くほどいて」
切迫感が急速に募り、夕実は喚きながら暴れた。ベッドがぎしぎしと鳴り、蹴り上げた足が壁を打った。
「何か保障があるのか? 約束するだけか?」
平野はようやく手首の戒めを解き、抱きすくめるように夕実の躰を引き起こした。
逃れようとする夕実を力で押さえつけ、無理矢理洗面器に跨らせた。
「いや。いや。許して。約束するから……。約束します。わたしを……信じて!」
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軽やかなチャイムがスピーカーから流れ、最後まで残っていた講師が大慌てで部屋を出ていくと、それを待ち構えていたように背後から声が掛かった。
「はい。わたしでしょうか?」
窓際の席で逆光になった平野が鷹揚に頷いた。
「ちょっと、いいかい?」
仕方なく席を立って平野の前に出る。
たっぷりと間があって、平野の目が頭から足の爪先まで往復した。
平野が顎で机を廻るように促した。
嫌な予感を拭えずに散々躊躇ったが、結局は言われる通りに従った。
暑いくらいのエアコンの暖気が夕実の髪を静かに浮かせた。
「今日はまた、いちだんときれいじゃないか」
あまりにも場違いで唐突な言葉に、夕実は二の句が告げず、凝視する平野の厳つい顔から目を逸らした。平野に命ぜられるままに穿いてきた、いつもよりずっと短いダークグレーのスカートから出た膝が小刻みに震えて合わさった。
「似合うよ……」
インフルエンザ対策と通知があったが、数日前から異様に暖房が効いて室温が高くなっていた。25℃近い室温にたまりかねて、上着はもちろん、半袖のブラウスを引っ張り出す始末だった。そのブラウスの胸元はいつもより二つボタンが余計に開いて、濃紺の布地の奥に真っ白な肌が覗いていた。おまけに……、なしでも形が崩れないし、生地が厚ければ誰も気付かないだろうと、あの日から平野の前でブラジャーをすることは許されていなかった。
「そう……ですか……」
平野の意図が読めなくて夕実は困惑していた。
目を落とした先。盛り上がった胸の先端が心持ち尖っているような気がした。
平野に乳首が透けて見えないか気になって仕方がなかったが、この姿でたった今まで生徒達の前に立っていたことを思い出した。
残りも僅かとなった担当する中2クラスの補講は満員御礼、立ち見まで出る始末だった。
「まぁ、オレには関係のなくなる話だが、君がいなくなるのは返す返すも残念なことだ。来年の募集はさぞ落ち込むことだろうな……」
「そんなことはないと思います。ベテランの佐藤先生や丸谷先生だっていらっしゃるし……」
「君は熱心だし教え方も上手い。でも、君の人気はそれだけじゃないことぐらいわかっているだろう?」
話が妙な方向に転がり始めて、夕実は気色ばんで反論したが逆効果だった。
「それは……、そんなことは関係ないです。みんな、真面目に……」
思うツボに嵌ったかのように平野はにやついた。
「君だって十分、意識してるだろう? だいたい、男子が席取り争いまでしていちばん前の列に陣取っているクラスなんか他にあるか? 息子が一生懸命ラブレターを書いたのに返事が来ないって母親から捻じ込まれたのも君が初めてだよ。さすがにアレは呆れたけどなぁ」
平野は面白おかしそうにくすりと笑った。
「そ、それは……」
――そう……。記名、無記名を問わず、手渡されるのはまだしも、下足入れに突っ込まれていたり、いつのまにか机に置かれている手紙には困惑する。記名された手紙は質問や要望だったりすることもあるから必ず開封するが、無記名のものはそのまま課長に提出することになっている……。
再び俯いてしまった夕実に平野は更に畳み掛けた。
「中学生だって2年にもなれば、もういっぱしの男だよ。ツマラナイ質問をして席に呼びつけて、前屈みになった君の胸元が覗けないものかとか、いろいろ考えるもんだ。君が背伸びして黒板の上の方に字を書くときなんか、もう必死になって凝視してるぞ? スカートから出た足と、そのむしゃぶり付きたくなるくらい丸くてそそる尻を。あわよくばパンティが見えないかと姿勢を低くして覗き込んでる奴までいる」
「まさか……そんな……」
「じゃあ、なんで君は、普段、人並み以上にずろっと長いスカートを穿いて、化粧一つせずに地味な格好をしてるんだ? 講師としての制限は確かに煩いかもしれないが、みんなその範囲内でオシャレを愉しんでるじゃないか。君がそうしないのは、君自身が生徒達の目を意識してたからじゃないのか?」
夕実は何も言い返せなくなって押し黙ってしまった。
「明日は朝からだろ? もう10cm短いスカートで来て、胸のボタンをもう一つ開けなさい。パンティも穿かないように。講義に出る前にここに来るんだ。確認しなくちゃいけないからな。君が正しいか、僕が正しいかすぐにわかるよ」
喜々とした平野の無遠慮な視線を浴びて、夕実はいいように遊ばれているとは思ったが、彼と交わした約束が背中に背負った十字架のように重く圧し掛かった。
「苛めてるわけじゃないんだ。君だってそういうの嫌いじゃないだろ? まぁ、そう、しゅんとしないで、そのきれいな顔を見せてくれ」
支離滅裂な要求に感情が翻弄された。
「下着は……許してもらえませんか? 気になって……教えるどころじゃなくなりそうで……」
無理矢理笑顔を作って懇願するが、平野が一度言い出したことを曲げるとは思えなかった。
「君なら大丈夫だよ。そんなことが影響するとは思えないよ。ところで、今日はどんなパンティを穿いているのかな? 見せてごらん」
平野の命令は予想の範囲内ではあったが、さすがに唯々諾々と従うことはできなかった。
何でも言うことを聞くとは言ったものの、いざとなると羞恥と理不尽な屈辱に躰が震え、頭に血が上った。しかし、拒否することは許されていなかった。何よりも、夕実自身が提案し、合意した約束だった。
思わず部屋を見回し、他に人がいないことを再確認する。遠くの廊下側のドアも閉まって、他人の気配もない……。
――でも……、あのドアが開いたら……どうするの?
平野に目で訴えると、彼はそれを見越したように薄く笑って応えた。
スカートの裾に伸ばした両手が震えた。
夕実の躊躇いを愉しむように平野は辛抱強かった。
明る過ぎる真昼の光を受けて、真っ白な太腿が殊更白く輝いた。
あまりの恥ずかしさに、そろそろと裾を捲くり上げる動きが鈍る。
「もう……これで許して」
平野は冷たく首を横に振った。
「臍まで捲くり上げるんだ」
顔を背けた夕実は仕方なくウエストの上まで布地を引き上げた。

夕実の豊かな下半身の中心を、肌と同じくらい白く小さな三角形が覆い隠していた。
「廻れ」
言われるがままに、夕実は半回転して尻を平野に向けた。
「かわいいパンティじゃないか」
色は白だが細いオレンジ色のラインが一様に入っているから遠目では薄いレモン色に見える。前も後ろも浅め。尻の割れ目が見え、普通だったら陰毛の上端がはみ出るくらい。前に付いた飾りのリボンだけは濃いオレンジ色の、シンプルだが気に入っているショーツだった。
「君らしくて、とっても似合うし、……ん? 君の匂いに混じって、なんかいい匂いがするぞ?」
ハッとして、夕実は持ち上げていた裾を離した。
「そういえば、君の甘酸っぱい匂いもいつもより強いな……。何で隠すんだ? もう一度見せなさい」
「花の…、匂いは……香水…トワレの……」
「ん? オー・ド・トワレか? 何でスカートを捲くると匂うんだ? どこにつけてるんだ?」
「し、下着です」
「ん? パンティにつけるのか?」
夕実は食い入るように突き刺さる視線から逃れるように無言で肯いた。
「なんでパンティにつけるんだ? 男にいつ脱がされてもいいようにか?」
「ち、違います! 臭い……臭いが生臭いから……」
「別に臭くないよ。いい匂いだよ。特に君の匂いはな。ほら、早く持ち上げるんだ」
容赦のない命令が飛んで、夕実はしぶしぶと裾を捲くり上げて、恥ずかしい下着姿を再び平野の目の前に晒した。
平野は夕実の下半身に鼻を寄せ、くんくんと匂いを嗅いでにやりと笑った。
「君のパンティの匂いを直接嗅いでみたいな。脱ぐんだ」
「そ、そんな……。困ります。それは……許してください」
夕実は持ち上げたスカートの裾を強く握り締めた。
「だ、だって……あの、その…汚れてるし……」
平野は惚けた笑いを浮かべ、夕実の下半身に顔を寄せた。
「汚れてる? どれどれ…別に汚れていないじゃないか」
「それは……、だから……」
授業が終わり講師室に戻って来て、ホッと一息。椅子に座って初めて気が付いた……。
下着が嫌になるくらい濡れていて、冷たくなった分泌液が肌にまとわり付いて気持ちが悪かった。トイレに行こうかグズグズしている内に他の講師に呼び止められて、引継ぎの打合せに時間をとられ、結果的に平野に捉まってしまったのだ。
そう……。わかっていたのだ。
すれ違う同僚や生徒達の、一瞬の目の動き。
好奇の視線が普段より揺れる胸やスカートから出た足に突き刺さっても、気付かない振りをしていただけ……。平野が言うとおり、見られていることを意識して、いつもより大胆な振る舞いや近過ぎる距離感が他人に与える効果に驚いているうちに、いつの間にか躰は本能に従って反応していた……。
泣き出したくなったが、結局は平野の言うがままに、下着に手を掛けた。
するりと滑った布地は重力に引かれるままに、きつく綴じた膝に引っ掛かった。
重さと冷たさが膝の皮膚に伝わって、あまりの恥辱に視界が歪んだ。
「おや?」
夕実から取り上げた下着を平野はわざとらしく弄んだ。
「こりゃ、すごいな。小さな割に重いと思ったら……おしっこ漏らしたのか?」
平野が濡れた股間の部分を裏返した。
「ち、違います!」
べっとりと貼りついたぬめりに平野が鼻を近づけた。
あまりの屈辱に夕実は思わず顔を背けた。
「いい匂いじゃないか」
せせら笑うような平野の口調に羞恥が突き上げた。
「もう……、そんなに…見ないで。……返して」
平野は首を振って、冷たく笑った。
「服も脱ぐんだ」
「そ、そんな……」
「早くしろ」
「ここじゃ……困ります」
「何でもするって約束しただろ? 奴隷の分際で口答えするなよ。返事は?」
「そ、そんな……。お願い。許して。他人が来たら……丸見えじゃない」
残忍な笑みを浮かべたまま、平野の首が冷酷に振られた。
「約束はどうした?」
真正面から見据えられて、夕実は仕方なく肯いた。
「ぜ、全部?」
「訊くまでもない」
平野の机のいちばん下の深い引出しが開けられて、そこに脱いだ服を入れるように促された。
散々躊躇った後、夕実は意を決してぐずぐずとブラウスのボタンを外し始めた。
「大丈夫だよ。しばらくは誰も来ない」
ドアが気になって仕方がなかった。
「誰か入って来たら、しゃがめよ。しゃがめば見えないだろ?」
横柄な顎に促されて最後の布地を引出しに落とすと、カラカラと軽い音を立てて引出しが閉まった。小さな金属の鍵がクイと廻り、取っ手を引っ張ってもガタガタと音を立てるだけで、もう引出しは動かなくなった。
夕実は自分で自分を抱きしめて、大事な部分を隠しながら平野の前に生まれたままの姿を晒していた。
「いい躰だ。手をどかせよ」
少しでも凌辱が早く終わってくれるよう、前を隠した両手を脇に寄せると夕実は唇を噛んだまま顔を強く背けた。
真昼の講師室で明るい日差しを浴びてたっぷりと量感を湛え硬く突き出た夕実の乳房が小刻みに震えた。数えるほどの僅かな陰毛は、その下の肉の裂け目を隠すには何の役にも立たなかった。つるつるした下腹の割れ目から妖しく色付いた小陰唇が複雑な襞をはみ出させて既に濡れ色に染まっていた。
「もう濡れてるじゃないか」
平野は冷たく嘲笑して、顎で命じた。
「その椅子に乗れ。這うんだよ。そのプリプリのでかい尻を後ろからじっくり眺めて、尻の穴をほじってやろう」
平野が不出来な講師を呼びつけて、延々と厭味と説教を繰り返すときに使われる、直径30cmほどの藍色の座面が付いた小さな丸椅子だった。
屈辱的な姿勢を思い浮かべ、頭にカッと血が上った。
「あの、…その……、お尻の穴は…許して……ください」
「なんだ? この間は気持ち良さそうだったじゃないか。あんあん、声まで上げて……。なんだ? もう一度浣腸されたいのか?」
あの夜の屈辱と痴態が甦り、夕実は泣きそうな顔で哀願した。
「きょ、今日は……汚いから、お願い、許して…、待って、待って……拭くから、拭いて来るから……トイレに、行かせてください」
「なんだよ? この間は良くて、今日はダメって? オレが拭いてやるよ」
平野は袖机に置かれた除菌ウェットティッシュをこれ見よがしに取り上げた。
「いや。いや。自分でします。汚いから…見ないで……」
「ホラ、早くしろ。両手と膝を突くんだよ」
夕実は懇願するが平野はまったく動じなかった。
平野は屈辱に震え、首を振り続ける夕実を冷たい目でじっくりと眺め、思い付いたアイディアにほくそえんだ。
『空の青 12−1b』(続く)
作成日:2010/02/25 最終更新日:2010/02/25