その夜は頭が冴えてしまってまったく寝付かれなかった。夏の光の中ですべてを晒されて翻弄されたことを思い返すだけで動悸が激しくなる。何であんなことが出来たのか、どこまで奔放になるのか自分が自分で信じられなかった。隆はなにも要求しないけれど無造作にしたいことをする。それが的確に私の望むことであればあるほど、それに応えることが私自身を奔放にしているのだ。白い光の中で艶やかに咲き誇る緋いカンナを見たときに、はっきりと血管を血が流れるのを感じたのだ。

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Lontano profondo 5-3 『峠のむこう 13』

夜中にトイレに起きると廊下の突き当たりがぼんやりと明るかった。微かに鳴る冷たい音楽に、隆の部屋だったなと思って開け放してあるドアから首だけ出してちょっと覗いてみたら、クッションの上に座って壁に寄りかかった隆が足を投げ出していた。コンコンと手近の壁を軽く叩くとゆっくりと目を開いた。目の焦点がようやく合ってきたかのように微かに表情が動いた。それを見てついふらふらっと隆の方へ寄っていってしまう。
「音が聞こえたから……」「まだ起きてるのかと思って」

「もったいなくて眠れないよ」「目が冴えちゃって」
言い訳をするように、投げ出された隆の足の間にひざまづいた。
「そうそう、同じだね」「あたま冷やしてたんだけど」
首に回された手でゆっくりと引き寄せられて鼻と鼻がぶつかった。そのまま目を閉じてキスすると頭のねじが直ぐに緩んで溶け始めてしまう。隆の両腕がパジャマの背に回されると、羞恥心と本能が闘争を始める。背から両の脇腹を繰り返しさすられて思わず声が出てしまって理性がはじけ飛んだ。ゆっくり唇を離すと二人の唾液が糸を引いて光った。隆の耳元にしがみついて囁く。
「ねぇ」
「ん?」

「ねぇ……、ちょっとだけ」「ちょっとだけでいいから触って」
隆の手首を掴んで自分の胸にあてがう。なんてことを言い出すのだろう。なんてことをしているんだろう。とてもじゃないが自分が自分とは思えなかった。隆の両手がゆっくりと前に廻って私の胸を揉みしだく。でも隆の手はパジャマの上から胸を揉み上げるだけでそれ以上のことはしようとしない。耳にかかった髪をかき上げられて隆の息がかかった。

「これでいいの?」
思わず首を振ってしまう。
「違うの?」
「違わないけど……違うの」「わかってるくせに」
顔に血が上って熱くなる。思わず声が上ずってしまう。
「……直接さわって」
胸に置かれていた手が首筋から小さなパジャマの胸元を這う。焦らされているのはわかったけれど、我慢ができなかった。勝手に手が動いて自分で胸元のボタンを外して前をはだけた。やっとの想いで隆の口が乳首を含んだときには、背筋をのけぞらして声を上げそうになってしまって慌てて自分の指を咥えた。交互に胸をまさぐられて、もう感情がうまく言葉にならなかった。頭の半分を白い光が占めてどんどん広がり始める。もう歯止めが利かない。そして、隆の手が腰から下へは絶対に下りてこないことに直ぐに苛立ちはじめる。下着からあふれた液体がパジャマのズボンを濡らしているのが自分でもはっきりわかるほど求めているのに。

クッションの上に膝立ちになって乳首を口に含まれたまま、隆のもう片方の手を下半身に引き寄せる。やっと片手が足とお尻をさするようになった。膝から内腿をさすり上げられただけで腰ががくがくと震えてしまう。
「いじわる」
「……」
「ねぇ」「ねぇ」だんだん声が大きくなってしまう。
「あそこも触って」「ちゃんと触って」
さすりあげられた手がようやく終点に達した。軽く触れられるだけでからだの震えが止まらない。堪えていたものが一気に決壊した。

「軽蔑しないで」「きらいにならないで」
そういいながら、パジャマのズボンを膝まで引き下ろした。隆の視線が下半身に注がれるのがわかる。
「こんな女はきらいになった?」
隆の顔が上を向き首を引き寄せられた。
「ん? ますます耀子が好きになった」「もう離したくないな」
耳から入った言葉を知覚して理解するのにかなり時間がかかった。最後の下着を自ら引き降ろすのと潤んだ目があふれるのが同時だった。

そのまま片足を持ち上げられてパジャマとパンティを足首から抜かれてしまうと足が自由に開くようになった。固く尖った乳首を手の平で転がしていた右手がゆっくりと下に降りていく。早く早くと祈るような気持ちで待っていると、隆の指が後から股間を割った。指を沈めるとあふれた液体が音を立てる。お尻の穴から太腿まで溢れ出ているのが自分でもわかった。いちばん敏感なところを軽くこすられただけで背筋を貫くような快感が走る。声が出てしまうので隆のTシャツに噛み付いて押し殺す。それでも隆の二本の指が二つの穴に同時に入ってきたときには堪えきれずに肩に噛みついてしまった。

(つづく)


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