「暑いな」
「シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、シャブリ、が飲みたい!」
たった今飲んだじゃないか。それもクリュもんを一本開けてだぞ。「スぽん」と簡潔な音をたてて2本目が開いた。真夏というに生牡蠣にライムをしこたま搾って、きんきんに冷えたシャブリで流し込む。海水の塩味と殻を剥くときに切った指から出た血の鉄味。緑と赤と蕩けるような灰白。喉を通過する瞬間の極楽。
「昔、卵の黄身を崩さないように口移しする映画があったじゃない」
「食道楽の話でしょ」
「そうそう、牡蠣も平気だよ、呑んじゃっても」
歯が歯にあたってガチガチ音をたてる。そっと舌で牡蠣を押しやると口元からあふれたシャブリが一筋、滴となって白い喉を伝っていく。二人とも鼻は呼吸で大忙しだ。舌の上に乗った牡蠣を透明な液体の中で泳がすように舌で押しやる。紅色の舌と灰白色の牡蠣のコントラストが美しい。唇と肌の境目をなぞるように舌を這わせるとようやく唇がぴったりと閉じて白い喉が一度だけ膨らんで元に戻った。
「今度はわたし」
摘み上げた小ぶりな牡蠣を頬張るとシャブリを一口流し込んで首を突き出して上を向けとジェスチャー。砂の上に置いた椅子の背もたれに寄りかかって空を見上げる。雲一つない青が視界を覆い尽くす。すっと影が差して女の右手が胸に置かれた。のしかかるように唇が合わされると温かくなった牡蠣と液体が瞬時に押し込まれる。
「まだ、飲んじゃダメだよ」
解放された口でそう言いながら舌を突き入れて掻きまわす。だらりと垂らしていた右手を持ち上げて真下から女の乳房を握り締める。びくっと一瞬舌が戸惑うけれど舌と舌は牡蠣を間に挟みながら絡み合うことを止めない。服の上から胸の先端を撫で上げるとすぐに固く尖り始める。苦しくなって牡蠣を飲み込んでしまっても、口は合わされたまま果し合いでもしているかのように舌と歯がぶつかり合っていた。右腕で腰を引き寄せると身体と身体の隙間が埋められていっそう密着度が増した。胸を撫で上げていた右手と左手を交代させる。左手の手の平全体で女の右の乳房を強く掴み上げると、呻き声とともに口が離れる。
「痛かった」
「んん」
少し上気して赤みの差した頬が美しいと思った。右腕を腰から下に廻してそのまま重力に任せる。熱い砂に指先が埋もれて再び別の生き物のように舌と舌が絡め合わされると、右手の指が少しだけ砂を這って屈み込んでいる女の足先を捕まえる。滑らかな筋肉に沿って手を滑らせるとすぐに裾を越える。一段と柔らかく吸いつくように冷たい皮膚に指を押し当てる。太腿が慌てたように固く合わされるけれど、それより早く行き止まりの空間に行き着いてしまう。冷たい皮膚とはうってかわった熱く湿った空気を布地の向こう側に感じて、肌に柔らかく食い込んだ布地の端から指をくぐらせる。生暖かい液体の染み渡った布地が二重になった部分で指先の角度を変えると熱く濡れた襞に指が埋まる。押しつけるように襞をかき分けると一気に液体が溢れて指先がとろとろにぬめってしまう。軽く前後に動かすと手前側の行き止まりの小さな固い粒から潜り込みそうな凹みを超えてお尻の盛り上がった谷間までがバターを流し込んだように潤んでいた。指を突き上げるように固い小さな突端を突くと声を出せない女の鼻からくねるようなか細い息が漏れる。中央の窪みに指先を沈めると蕩けそうな熱さが締めつける。そのまま躊躇なく押し込むとざらざらの粘膜と吸いつくような熱さに溺れた。
「あたるとのたうち回りそうだね」
指先をゆっくりと動かしながら目を開けると困ったように眉が歪んだ女の顔が目の前にあった。
「二人して冷や汗流してお腹抱えて唸ってっていうのも欲に憑かれた顛末だな」
男の裸の胸に指先を強く打ち立てながら視線が揺らめいていた。
「じゃぁ今のうちにもっと憑かれて……おこうよ」
帽子の影で目が問いかけるように光った。睫毛と唇が微かに震えて光と影の狭間で柔らかいかたちをつくった。
最後の牡蠣を押しやるとすっと喉の奥に消えていった。待っていたかのように女の舌が暴れてシャブリが口元から溢れる。溢れた液体を唇で慌てて追いかける。シャブリの酸味に汗の塩味が加わった。白い首筋の上をつぅと流れた液体は首元の鎖骨がつくる三角形に一瞬勢いを止められるけれど、滝が溢れるように方向を変えて落ちていく。
「くすぐったい」
右手を女のうなじに廻して紐の最先端を強く引くと流れが滲んだ白い布地が緩んで落ちた。布地の下から現れた更に白く尖った双の乳房を両手で支えて、その先端を交互に口に含む。柔らかく強く吸い込むと女の幽かな声が波の音の上に乗って、謳うように影一つ無い晴天の浜辺に響いた。ふと思いついたように二つの胸の谷間に顔を埋めて、谷間の一番深くなった位置を強く吸う。両の指先で乳首を摘み上げながら何度か吸うと透明な皮膚の下に淡いピンク色のしるしが浮かびあがってきた。そのしるしだけを乳房の間に抱いて寝るように、紛れ込んだ花びらのように赤いしるしが残された。

乳首を舌先で転がしながら両手の指を脇腹から腰に下す。薬指と中指を下着の一番細い部分に差し入れて浮かすように下向きに力を加える。お尻の山を越えると手を離すだけで足首まで落ちていった。帽子を押さえている片腕にもう片方の自由な腕を組み付けて、何も隠すもののない白い彫像を太陽の光と争うように犯す。透き通った皮膚とあらゆる襞に吸い付いて食らい尽くす。大きく広げられた襞の中心部に舌を捩じ込むように押し入れて止めどもなく溢れる液体をすすりあげると、崩れ落ちるように膝と手が砂に埋もれた。
波打ち際で膝元を潮に洗われながら高く尻を掲げさせる。細い腰と白く盛り上がった双の柔らかい肌に頬擦りすると潮の匂いに混じって女の匂いが風に乗った。白と紅色の狂いそうなまでのコントラストに目が釘付になる。人差し指の先を割れた襞に埋めると絡みつくようなぬめりとともに離した指に光る糸が引かれた。そのまま丁度真上を向いている円形にすぼまった部分に塗りつけると凹んでいるピンク色の部分にきれいに液体の層ができた。ゆっくりと顔を近づけて、真上から舌を差し込む。声にならない声と同時に大きく身体が震えた。真っ白な尻の中心から下に向かってひろがる桃色の襞に口を押し当てて往復すると、暴れるように突き上げる動きが加わった。唾液と女の液体が合わさってたたえきれなくなった液体が襞から溢れる。白く滑らかな皮膚がコーティングされたように直射光にきらきらと光る。溢れた液体が濃密な匂いとともに白い腹の方に伝わり始めると、逃げるように振り向いた女が狂ったように唇を合わせた。息が続かなくなるとようやく離した口が微かな言葉をこぼした。長い睫毛の奥で焦点の合わない目がすがるように震えていた。
「いれて」
波の音にかき消されそうなかすれた声が聞こえた。
水際の丁度良い角度で横たわった身体を足の方から波が洗う。足を腕で抱えながら持ち上げて大きく広げる。足と足の中心に垂直に体を降ろしていくと先端が熱く溶けながら根元まで埋まった。ひときわ長い悲鳴のような声が喉から漏れて女の腕が宙をつかんだ。
ゆっくりと腰を突くように動かすとぴったりその動きに合わせたように女の腰が沈む。止まらない声が波の寄せる音にあわせてリズミカルに震える。真上を向いてなお高く尖った二つの乳房を揉みしだきながら円を描くように身体をうちつける。溢れた液体と汗が二人の身体の間で湿った音をたてる。白く整った女の顔が歪んで統制のとれない言葉と音が切れ切れに迸る。
「もっと、もっと」
足首を掴んで身体をいっそう屈曲させる。最深部の壁に突き当たるまで深く差し込むと直射日光の下で女の顔がピンク色に染まり始める。両腕をめちゃくちゃに振りまわしながら男の背中を掻き毟る。
「ねぇ、もう、もう」「もう、だめ」
言葉と呼吸と悲鳴が同時に発せられた。顔色が一気に紅潮して、体温が急速に低下する。ひときわ大きく女の足が痙攣したとき、その身体の一番奥にありったけのものを打ち込んだ。一滴も残さずに振り絞るように注ぎこんだ。つながったまま、身体の下でガタガタと痙攣している女を抱き締めると、震える身体を静めようとするかのように女がしがみついてきた。皮膚が冷たく冴えて、汗までが冷える。下半身をわずかに洗う海水の方が暖かく感じた。
身体を洗う波の動きに意識が反応する。懐かしいまでの安寧。視覚が鮮明さを増すと女の白く冴えた顔が影の中で満ちたりた表情をつくっていた。口を合わせると舌が回転するように絡み合う。ようやく長い睫毛が微かに震えて黒い瞳が覗いた。
「好き」
はにかんだように語尾が波間に消えていった。影一つない浜辺で白い身体がただ一つの黒い影にぴったりと嵌まり込んで合わさっていた。
「影の大きさが丁度ぴったりだよ」「へへ、貝殻の中の牡蠣みたいだね」
「ほんとだ」
「このまんま潜っていっちゃいたい」
「重くない?」
「ん、大丈夫」「何かぴったりで安心」
ゆっくりと睫毛が合わさった。
波打ち際で重ね合わされた身体は打ち上げられた貝殻のように午後の光を浴びて、暗褐色に濡れた浜辺の中でそこだけ白く光っていた。(完)